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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ケッシグ・ランプ(過去のスタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ケッシグ・ランプ(過去のスタンダード)

by 岩SHOW

 最近のランプ/ビッグマナ系デッキの活躍は個人的に嬉しい限りである。緑の土地を戦場に出す呪文などを用いてマナを伸ばし、大物をドシンッと着地させて問答無用で勝つ。怪獣好きとしては、大型クリーチャーで対戦相手を踏みつぶしたい欲求を叶えてくれるこの類のデッキは大好物だ。クロちゃん(日本人初のプロツアー王者・黒田正城氏)が実況・解説の際に「メキメキィ」「グシャァァァァ」「ボキボキボキィ」と擬音で表現するような、カードパワーで相手の心をへし折りにかかるデッキというものは、ほんまにええものですよ。

 最近のそういったデッキの定番と言えばエルドラージだ。しかし、それがこのジャンルのすべてではないということを......過去を知らない層に伝えていくのが、僕の仕事かなと。ここ最近マジックを始めた人が、ちょっと前の懐かしいデッキ・一時代築いた古典の部類に入るデッキなんかを目にする機会ってないよなぁと、最近改めて思ったもので。

 せっかくこういうコーナーをやらせてもらっているのだから、最新鋭のデッキのみならず個人的に思い入れのあるデッキでも紹介していこう。今日は2本立てで、しかも両方ランプデッキだ!

Brian Kibler - 「ケッシグ・ランプ」
プロツアー『闇の隆盛』 優勝 / スタンダード (2012年2月10~12日)[MO] [ARENA]
6 《
5 《
4 《銅線の地溝
4 《根縛りの岩山
2 《ケッシグの狼の地
4 《墨蛾の生息地

-土地(25)-

1 《極楽鳥
4 《高原の狩りの達人
3 《真面目な身代わり
1 《最後のトロール、スラーン
1 《酸のスライム
4 《原始のタイタン
2 《業火のタイタン

-クリーチャー(16)-
4 《不屈の自然
4 《太陽の宝球
4 《感電破
1 《鞭打ち炎
4 《金屑の嵐
2 《緑の太陽の頂点

-呪文(19)-
2 《最後のトロール、スラーン
1 《秋の帳
2 《古えの遺恨
2 《焼却
2 《帰化
1 《鞭打ち炎
2 《内にいる獣
1 《原初の狩人、ガラク
2 《解放された者、カーン

-サイドボード(15)-

 プロツアー殿堂顕彰者で、二度プロツアー王者にも輝いているブライアン・キブラー/Brian Kibler。彼がその二度目の優勝を果たしたプロツアー『闇の隆盛』にて使用したデッキが「赤緑ケッシグ・ランプ」だ。《太陽の宝球》《不屈の自然》《真面目な身代わり》と、この頃のスタンダードには軽くて使いやすいマナブーストが揃っており、そして《原始のタイタン》という自身の戦闘力も十分に高いのにさらに強力な勝ち手段に繋げることのできるクリーチャーもいるとくれば、もうランプを組まない理由はないほどだ。

 《原始のタイタン》は戦場に出た時と攻撃した際に、ライブラリーから土地を2枚サーチしてくることができる。基本でない土地もOKで、さらに2枚である。それがタップ状態とは言え直接戦場に出るのだから大盤振る舞いだ。こんな能力を持った6/6トランプルがたったの6マナ!使わないと損である。

 しかも、持ってくる土地が凄まじい。《ケッシグの狼の地》という、マナを注いだ分だけクリーチャーのパワーを上昇させる土地をサーチしてきてタイタンを強化。《微光地》2枚持ってきて、これらが同時に戦場に出てお互いを参照するので4点回復。そして感染持ちのクリーチャーになる《墨蛾の生息地》。ケッシグ×墨蛾で一撃毒殺するのが実に気持ちいいのだ。

 というわけでこのデッキタイプはそのデッキパワーから流行し、世界選手権で優勝も果たしている。そこから『闇の隆盛』で《高原の狩りの達人》を手に入れて、このデッキはますますパワーアップ! マナを伸ばしてこの狼男を出して、後はクルクル変身させてればタイタンを呼び出さずともゲームに勝ててしまうレベルだ。さらにこの後、『アヴァシンの帰還』にて《忌むべき者のかがり火》を、『基本セット2013』にて《スラーグ牙》を手に入れて、このデッキはますますそのデッキパワーを増していったのである。当時はずっとこのデッキ使っていたなぁ、懐かしいィィィ。

 この「ケッシグ・ランプ」は赤緑で組まれるのが主流であったが、当時は他の色にも叩き付けたくなる大型カードが多数存在していた。小粒なクリーチャーの生存を許さない《大修道士、エリシュ・ノーン》、対戦相手のタイタンを封じ込める《霜のタイタン》などを採用したケッシグ亜種の姿を見ることが多々あった。そんな中でも、このデッキはカッコ良かったよなぁ。

Conley Woods - 「黒緑ケッシグ」
グランプリ・オーランド2012 優勝 / スタンダード (2012年1月14~15日)[MO] [ARENA]
7 《
5 《
1 《
4 《森林の墓地
1 《竜髑髏の山頂
2 《ケッシグの狼の地
4 《墨蛾の生息地
1 《幽霊街

-土地(25)-

1 《極楽鳥
1 《裏切り者グリッサ
4 《真面目な身代わり
2 《酸のスライム
4 《墓所のタイタン
4 《原始のタイタン

-クリーチャー(16)-
4 《不屈の自然
4 《太陽の宝球
2 《破滅の刃
2 《喉首狙い
2 《漸増爆弾
2 《緑の太陽の頂点
3 《黒の太陽の頂点

-呪文(19)-
1 《ヴィリジアンの堕落者
2 《最後のトロール、スラーン
1 《解放の樹
2 《虚無の呪文爆弾
2 《古えの遺恨
2 《死の支配の呪い
1 《黒の太陽の頂点
2 《殴打頭蓋
1 《ヴェールのリリアナ
1 《原初の狩人、ガラク

-サイドボード(15)-

 赤の要素はケッシグと《古えの遺恨》のみに抑えられ、黒を2色目とした「黒緑ケッシグ」だ。除去を多数取り揃えて、よりコントロールデッキとして強固なものに仕上げた形となる。

 そして黒を使う最大の利点は《墓所のタイタン》が使えること!これに尽きる。《原始のタイタン》と同様、これ1枚で勝負を決めてしまう強さを持っているこの黒のタイタンを、隙あらばマナ加速から叩き付ける!タイタン8枚体制のこのデッキ、この潔さが素晴らしいよね。土地を引けずにタイタンが手札に大集合して死亡、なんてケースもあるがそれもご愛敬。

 包み隠さずに言えば、《原始のタイタン》が大好きである。戦場に出すことができればグッと勝利に近づくこのデカブツ、今ではモダンやレガシーでその土地サーチ能力を活かして変わらぬ雄姿を見せてくれている。形は変われど、受け継がれるデッキの形。皆も自分が今好きなデッキやカードのルーツを探ってみてはいかが? あ、それを手助けするのが僕の仕事か。

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