岩SHOWの「デイリー・デッキ」：古代の聖塔アグロ（モダン）

by 岩SHOW

　《呪文捕らえ》は予想通りスタンダードで活躍、「バント・カンパニー」を１つ上のデッキへと押し上げた。かつて打ち消しとクリーチャーを融合させた《神秘の蛇》が登場した時も驚いたものだが......これのサイズが２/３になり飛行がついて、それで点数で見たマナ・コストが軽くなるだなんてねぇ。打ち消せる範囲が固定され......まあ正確には打ち消すわけじゃないのだが、とは言えそりゃあ強いでしょう。

　これはスタンダードだけに収まるカードパワーじゃない！と思ったプレイヤーも世界中にはわんさか居て、その強さを実証しようと最寄りのイベントに駆け込んだはずだ。そんな中、最も挑戦的なリストを持ち込んだのはJack Rumpfかもしれない。彼がStarCityGames.com Classicに持ち込み、6位という結果を残したデッキは、なんともキラキラ眩しいカードが並ぶものだった。

　《古代の聖塔》《パルンズの柱》は、それぞれ条件付きであるとは言え５色のマナを生み出せる隠れたナイス土地。この両者の条件を満たすには「多色のクリーチャー呪文」をデッキに多数入れればOK、ということで、エクステンデッドや初期のモダンでは３ターン目《包囲の搭、ドラン》、4ターン目《稲妻の天使》とかいうめちゃくちゃな動きをする「古代の聖塔」デッキの姿を見ることがあった。デッキリストには多色のクリーチャーがズラリ、金色のビートダウンデッキである。このデッキもその血筋にあたる。

　５色土地は他にも《宝石鉱山》《マナの合流点》《反射池》と隙のないラインナップ。さらには《極楽鳥》《貴族の教主》とマナ・クリーチャーも充実。これらを用いて、多元宇宙から選りすぐりの黄金聖闘士が集結だ。

２マナ域入場ッ！

　《潮の虚ろの漕ぎ手》《クァーサルの群れ魔道士》《復活の声》......白絡みの２マナ２/２たち、いずれも対戦相手に対する何かしらの妨害を行う能力を持っている。便利であり、打撃力も十分。

３マナ域入場ッ！

　《台所の嫌がらせ屋》《カマキリの乗り手》《先頭に立つもの、アナフェンザ》《呪文捕らえ》......打撃力もあり、防御に回ってもいい仕事をする連中。《貴族の教主》から２ターン目に《カマキリの乗り手》と展開すれば、４/４飛行速攻警戒で攻撃できる！これぞまさしくアグロデッキ！ アナフェンザで墓地対策をしつつ、《台所の嫌がらせ屋》でライフも守る。そして相手の反撃の芽は《呪文捕らえ》で摘み取ろう。

４マナ域入場ッ！

　《ファルケンラスの貴種》《包囲サイ》......出た、ゲームを終わらせるヤツらッ。どちらも４マナのパワー４で、戦場に出て即座に相手のライフを削り取る、このデッキの最重量のカードにしてエース。十分に強力な２マナ３マナを展開された後で叩き付けられるこの怪物に対して、果たしてあなたの手元に対抗策は残っているのか...。《ファルケンラスの貴種》はこのデッキに複数いる人間を喰らって打撃力を増したり、《復活の声》を生け贄に捧げて能動的にエレメンタル・トークンを生み出したりすることができるので、スマートな運用を心掛けてプレイして貰えればと思う。

　除去は定番の《流刑への道》《突然の衰微》を採用。アグレッシブなこの構成だと《稲妻》を採用したくなるが、５色土地があると言っても単色のクリーチャーでない呪文のための赤マナの捻出は簡単ではなく、《復活の声》などのために採用されている《剃刀境の茂み》により唱えやすい《流刑への道》が採用されている。

　これらで道を切り開いたら、殴るのみ！と言っても、２色３色のハイスペックなクリーチャーばかりが集まっているのと《貴族の教主》《クァーサルの群れ魔道士》の賛美により、クリーチャーのサイズではそうそう敗けることはないだろう。６枚しかない除去、慎重に使っていこう！

　弱点は、言うまでもなく土地。《血染めの月》１枚で、手も足も出ないことに......。サイドボード後のゲームでは、《突然の衰微》か《呪文捕らえ》を構えながら戦っていきたいところだ。《血染めの月》はその時々の流行りでサイドボードに取られたりそうでなかったりするカード。なので、基本でない土地への対策が弱まっているタイミングでこそ使用すべきデッキなのかもしれない。あまり目立ちすぎると勝てなくなるのがこの手のデッキの辛いところだなぁ......使用する際は、１枚のカードで折れない強い心を！