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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:シャーマン(過去のスタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:シャーマン(過去のスタンダード)

by 岩SHOW

 部族デッキでの一番人気は?こればっかりは何とも言えない。昨日紹介したマーフォークが大好きな人もいれば、黎明期からずっとゴブリン一筋、コンボ要素を備えたエルフ最高、やっぱ人間でしょう、いいやゾンビだ......と、さまざまな派閥に分かれることだろう。

 ただ、ある特定の部族が明らかに人気ナンバー1だったという時期はある。当時はグランプリなどでも勝ちまくり、また日本人の嗜好にも合致したデッキ......「青黒フェアリー」だ。2ターン目《苦花》から始まる悪夢の時間。増え続けるクロック、各種フェアリーシナジー、それを支える除去と打ち消し......完璧なデッキだったなぁ。このデッキを食うために、いろんなデッキがあれやこれやと策を講じたものだ。

 そんなデッキの1つに、部族には部族で対抗する、という真っ向からぶつかり合うスタイルを突き詰めたものがあった。そのデッキは、あのプロツアー殿堂顕彰者、ローリーさんこと藤田剛史氏の制作したもの。藤田ブランドのデッキは数え切れないほど存在し、長い期間に渡ってプロツアーに参戦する日本人プレイヤーに提供され、そして彼らに好成績をもたらした。以前に紹介した、黒田正城さんの「ビッグ・レッド」もそんなデッキの1つだね。

 少々脱線したが、プロツアー・ハリウッド2008では「青黒フェアリー」が全体の27%という高い使用率を誇っており、これをどう攻略するかがカギだったわけだ。フェアリーを狩るには、スピード。スピードと言えば、赤。打倒フェアリーに燃えたのは、赤のスピーディーさをウリとする部族、シャーマンだった!

大澤 拓也 - 「シャーマン」
プロツアー・ハリウッド2008 62位 / スタンダード (2008年5月23〜25日)[MO] [ARENA]
17 《
4 《変わり谷
1 《ペンデルヘイヴン

-土地(22)-

4 《炎族の先触れ
4 《威嚇者の信徒
4 《灰の殉教者
4 《煙束ね
2 《巡礼者アシュリング
4 《月の大魔術師
4 《憤怒の鍛冶工

-クリーチャー(26)-
4 《ショック
4 《火葬
4 《裂け目の稲妻

-呪文(12)-
4 《難問の鎮め屋
3 《大爆発の魔道士
4 《恨み唸り
4 《死亡 // 退場

-サイドボード(15)-

 「赤単シャーマン」である。デッキリストが美しい。1マナのシャーマンが12枚採用されていることからもわかる通り、1ターン目からクリーチャーを展開し、ガンガン殴っていくビートダウンデッキである。こちらも12枚採用された火力を使って、シャーマンたちの道を阻むものを焼き払い、状況によっては本体にこれを撃ち込んでライフを削り切る。古き良き、赤のビートといった趣である。

 このデッキの核となっているのは《憤怒の鍛冶工》。シャーマンデッキが成り立ったのは、このカードの存在あってこそ。これが戦場に出た際に、他の自軍のシャーマンすべてに+1/+1カウンターを1つ置くという、ばらまき強化能力を持つ。さらには、それら+1/+1カウンターが置かれたクリーチャーが攻撃すると、それが戦闘ダメージとは別に対戦相手に1点のダメージを与えるという能力まで持っている。軽量のシャーマンが並んでいるところにこれを投下すると、一瞬で対戦相手のライフを削り取ることができるというわけだ。

 クリーチャーの線が細く、《苦花》でライフも擦り減らす「青黒フェアリー」にとっては、このシャーマンラッシュはまさしく地獄。このデッキを託されたプレイヤー2人でフェアリー相手には合計5勝2敗と好成績を収めて、両名ともにマネーフィニッシュ。フェアリー以上に他のデッキに大きく勝ち越したそうだが、それの最大の要因は誰も知らない・意識していないデッキだった、いわゆるローグデッキだったという点。デッキの狙いやカード1枚の役割を理解できずに、適正なプレイングができずに敗れていったプレイヤーが多かったそうだ。フェアリーだエルフだマーフォークだと皆が注目する中、シャーマンに注意を払っているプレイヤーなんていなかったのである。

 このシャーマンデッキを支えるのが《炎族の先触れ》。基本的にはフィニッシュに導いてくれる《憤怒の鍛冶工》をサーチするカード......なのだが、手札次第ではこれで2枚目のこのカードをライブラリートップに置いたりすることもあるとのこと。《憤怒の鍛冶工》が本領を発揮するには、シャーマンがズラリと並んでこそ。このカードでライブラリーを操作して、理想の戦場を作り上げたところで鍛冶工からのシャーマンラッシュを叩き込む、これぞ愉悦。

 現在のモダン環境でもこのデッキを再現することは可能だし、なんだったら大幅に強化もされている。1マナにはパワー2の《火飲みのサテュロス》が、2マナにはアドバンテージが取れる《激憤の巫師》と驚異的な展開を可能とする《炎樹族の使者》がいるため、クリーチャーのサイズをワンラクアップさせつつ、《稲妻》《灼熱の血》といったより攻撃的な火力呪文を取ることもできる。赤緑の2色にして《獣相のシャーマン》や《アタルカの命令》なんかを追加するのも面白い。《大爆発の魔道士》《永遠の証人》など単体で見ても強力なものが揃っているので、デッキの作り甲斐はあるんじゃないかな。

 意外と「これがシャーマン?」みたいなカードはまだまだ潜んでいるので、まずは「シャーマン」でカード検索してみるのをオススメするよ!

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