READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:白赤人間(スタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:白赤人間(スタンダード)

by 岩SHOW

 人間という種族の強さはどこにあるか。赤道直下から北極圏まで、様々な環境に対する適応能力の高さこそ、この種族この星で覇権を握るに至った最大の理由だろう。ほんと、世界中のわけわからん環境どこにでも住んでいる人はいるからね。

 マジックの背景世界・多元宇宙でも人間の住んでいない次元の方が稀である。ローウィンとか、《ボーラスの瞑想領土》、お菓子とウサギさんたちのふわふわもこもこ次元、あたりがパッと思いつくそれであろうか。

 極端な例はさておき、ありとあらゆる世界で人間の繁栄を目の当たりにすることができる。それがイニストラードのような、人が狩られる暗黒の次元だったとしても......むしろ、この次元の人間は生き残ることに必死で、《サリアの副官》のような強力なカードが登場している。『イニストラードを覆う影』環境初期に人間による部族ビートダウンデッキが隆盛を迎えたのは既に紹介した。新たなるアプローチとして、《龍王オジュタイ》なども採用したミッドレンジ寄りのデッキが登場したことも述べた。そして、今、スタンダードでは変わらず人間デッキが活躍しているが......環境末期ということもあって、より煮詰められたデッキとなった。まずはこちらのリストをご覧いただきたい。

高尾 翔太 - 「白赤人間」
グランプリ・ミネアポリス2016 準優勝 / スタンダード (2016年5月28〜29日)[MO] [ARENA]
12 《平地
4 《戦場の鍛冶場
4 《鋭い突端

-土地(20)-

4 《スレイベンの検査官
4 《町のゴシップ屋
3 《ドラゴンを狩る者
3 《アクロスの英雄、キテオン
2 《探検隊の特使
4 《白蘭の騎士
4 《サリアの副官
3 《ケラル砦の修道院長
2 《無謀な奇襲隊

-クリーチャー(29)-
3 《グリフの加護
4 《石の宣告
4 《永遠の見守り

-呪文(11)-
3 《ハンウィアーの民兵隊長
2 《族樹の精霊、アナフェンザ
1 《グリフの加護
2 《絹包み
2 《停滞の罠
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン
1 《平地

-サイドボード(15)-

 先に行われたグランプリ・ミネアポリス2016で高尾翔太が使用したものは、「白単人間」に赤をタッチしたもの。このデッキが同グランプリで準優勝の結果を残す以前から、「白単人間」のメインデッキから《平地》4枚を《戦場の鍛冶場》に差し替え、サイドボードに《鋭い突端》を採用、《衰滅》のような全体除去を使用してくる相手にはこれをサイドインして尽きない攻めを......というアプローチのデッキは少なからず見られた。

 このデッキではその《鋭い突端》をメインに採用し、赤いカードもデッキに投入されており「白赤人間」と呼ぶに相応しいものとなっている。その赤いカードとは《ケラル砦の修道院長》と《無謀な奇襲隊》だ。1マナクリーチャーが13枚も入っているこのデッキであれば、修道院長は高確率でアドバンテージをもたらしてくれることだろう。《永遠の見守り》などでパワーが1上昇するのもイイネ。そして奇襲隊、1マナクリーチャーと同一ターンに怒濤で唱えて打点を一気に倍増させる動きはまさしくその名に恥じないもの。盤面で○点ならまだ生きてるな......と思った相手の裏をかくにはこの上ない1枚だ。

 さて、この奇襲隊入りの人間デッキ、グランプリで結果を残したものをさらに調整したものをあのトム・ロス/Tom RossがStarCityGames.com Standard Open Atlantaに持ち込んでサクッと優勝している。「感染」や「ボス・ナヤ」などのビートダウンデッキの名手である"The Boss"の使用したものがこちら。

Tom Ross - 「白赤人間」
StarCityGames.com Standard Open Atlanta 優勝 / スタンダード (2016年6月4日)[MO] [ARENA]
14 《平地
4 《戦場の鍛冶場

-土地(18)-

4 《ドラゴンを狩る者
4 《探検隊の特使
4 《スレイベンの検査官
4 《町のゴシップ屋
3 《アクロスの英雄、キテオン
2 《勇者の選定師
4 《白蘭の騎士
4 《サリアの副官
2 《領事補佐官

-クリーチャー(31)-
3 《グリフの加護
4 《石の宣告
4 《永遠の見守り

-呪文(11)-
3 《ハンウィアーの民兵隊長
4 《無謀な奇襲隊
4 《鋭い突端
1 《グリフの加護
1 《絹包み
2 《停滞の罠

-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)

 《鋭い突端》と《無謀な奇襲隊》を4枚ずつパッケージにしてサイドボードに採用している。ここまでするかというようにも見えるが、ここまでしたからこその優勝なのだろう。コントロール系のデッキにはこれらをインして薙ぎ倒す! 流行りの「緑白トークン」には《石の宣告》と《グリフの加護》が強く、ダメージランドを多数採用したバントや《謎の石の儀式》系のデッキには奇襲隊や《永遠の見守り》からの大ダメージで押し切る......と、現スタンダード環境で強いデッキに対して有利に立ち回れそうなデッキだ。

 スタンダードをやる上で、このデッキの存在を無視することはできない。このデッキを食い止めるには......《光輝の炎》他、2対1上の交換が出来る強力なソーサリーと、《鋭い突端》を撃ち落とせる《闇の掌握》のようなインスタントの除去を併せ持ったコントロールデッキを組んで臨めばあるいは、というところか。

 君は人間を率いるか、あるいは闇の勢力となってこれらを狩るのか? まだまだ楽しみに満ちた現スタンダード環境を最後まで遊びつくしてほしい。

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索