READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ジェスカイ・ドラゴン(スタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ジェスカイ・ドラゴン(スタンダード)

by 岩SHOW

 ドラゴン。全世界の様々な文明にて、巨大な爬虫類をモチーフにした怪物の存在が神話なり英雄譚なりで語られている。火を噴き、空を駆ける鱗で覆われた怪物と共通点も多く、なんとも不思議な話であるが......一説には、原初の哺乳類が古の地球を闊歩していた恐竜たちに対して抱いていた恐怖を受け継いでいるとかなんとか。なんとも面白い仮説ではある。何にせよ、ドラゴンとは強さ・恐怖・死の象徴で、ファンタジーの世界でその残忍さを人類に容赦なく叩き付ける食物連鎖の頂点である。

 マジックの世界でも《シヴ山のドラゴン》から始まり、23年間も人類の最大の敵として君臨し続けているのは皆さんご存知の通り。では、このファンタジーの象徴を軸としたデッキの最新型を見てみよう。

kikuya1226 - 「ジェスカイ・ドラゴン」
Magic Online Competitive Standard Constructed League 5勝0敗 / スタンダード (2016年5月24日)[MO] [ARENA]
4 《
2 《
2 《平地
4 《シヴの浅瀬
4 《大草原の川
2 《港町
2 《戦場の鍛冶場
2 《鋭い突端
4 《進化する未開地

-土地(26)-

3 《スレイベンの検査官
3 《ヴリンの神童、ジェイス
2 《変位エルドラージ
4 《龍王オジュタイ
2 《氷瀑の執政
1 《保護者、リンヴァーラ
3 《搭載歩行機械

-クリーチャー(18)-
4 《龍詞の咆哮
4 《シルムガルの嘲笑
1 《石の宣告
3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン
3 《先駆ける者、ナヒリ
1 《炎呼び、チャンドラ

-呪文(16)-
2 《否認
1 《石の宣告
4 《熱病の幻視
3 《光輝の炎
1 《隔離の場
2 《悲劇的な傲慢
1 《意思の激突
1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン

-サイドボード(15)-

 環境でも随一のフィニッシャーである《龍王オジュタイ》を使うためのデッキを構築した結果生まれた、という印象を受ける「ジェスカイ・ドラゴン」。一般的なものは殿堂顕彰者・八十岡翔太も愛用する「エスパー・ドラゴン」だが、オジュタイの青と白は固定として、3色目を何色にするかというところでこのデッキは赤を取り、別の道を歩む形をとっている。

 赤を選ぶ最大の理由は《龍詞の咆哮》が使える点か。2マナの3点火力除去で、ドラゴンを手札から見せるかコントロールしていれば得られる追加効果・いわゆる「ドラゴンボーナス」でプレイヤー本体にも3点のダメージを与えることが可能となる。2マナでクリーチャーを撃ち落としつつ本体のライフも削ることができるというアグレッシブさ溢れる呪文で、これ1枚で簡単に攻守を入れ替えることができる。

 《龍王オジュタイ》のパワーは5で、これだけで殴り切るには4回のアタックが必要だが、この《龍詞の咆哮》のダメージや他のクリーチャーによる攻撃を絡めれば、その回数を抑えてさっさと勝利することが可能となる。確かに、これは同じ黒のドラゴンボーナス除去である《忌呪の発動》には逆立ちしてもできない芸当だ。この2択、どちらを取るかでデッキの方向性はガラリと変わるのがよくわかるかと思う。

 で、オジュタイと共に殴りに行くクリーチャーのチョイスだが......よく見るのは《雷破の執政》。4マナ4/4飛行で、たとえ除去されてしまっても本体にダメージを飛ばせる能力持ちと、ドラゴンの攻撃性を剥き出しにしたかのようなクリーチャーだが......それはこのリストでは採用されておらず。代わりに同じサイクルに属する《氷瀑の執政》がチョイスされている。

 5マナ4/3飛行とスペックは劣るが、これも相手の除去呪文のコストを重くするという耐性を持ち、かつ相手のクリーチャーを1体タップして、これが戦場を離れるまでそれを封じこめるという強烈な能力を持っている。ダメージレースという観点では相手の手を止めこちらは空から4点叩き込む、という素晴らしい1枚である。流行りの《不敬の皇子、オーメンダール》も氷漬けになっては手も足も出ない。雷破と氷瀑、どちらも優秀なドラゴンには違いないので、どれを何枚採用するかは各自流行り廃り、自分のスタイルに合わせて調整してほしいところ。

 赤を採用したジェスカイならではの強みはプレインズウォーカーにもあり。最近は様々なデッキで結果を残している《先駆ける者、ナヒリ》が運用可能で、これにより不要なカードを捨てて《龍詞の咆哮》《シルムガルの嘲笑》のようなカードを探しに行けたり、[-8]能力を起動してオジュタイ緊急発進を狙ってもよい。同じく赤のプレンズウォーカー、《炎呼び、チャンドラ》も絡めれば対戦相手のライフを溶かすのに時間は要らない。

 残りのカードは定番の《ヴリンの神童、ジェイス》と、マナカーブを埋める《搭載歩行機械》《スレイベンの検査官》。そしてこれまた流行りの《変位エルドラージ》だ。ドラゴンを守り、アドバンテージを獲得し、対戦相手のクリーチャーを完封するこのエルドラージ、ジェスカイ・カラーであれば《戦場の鍛冶場》《シヴの浅瀬》で無理なく無色マナを得られるので活躍すること間違いなし。

 これらも含めて実験的なリストに見えるが、ここからさらにブラッシュアップされて一段階上のデッキに調整できれば、「緑白トークン」がはびこるスタンダード環境でも爪痕を残すことができるかもしれない。ファンタジーの王道の強さを見せつけろ!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索