マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

読み物

週刊デッキ構築劇場

2012.10.15

第82回:塚本樹詩のデッキ構築劇場・コロズダVSフロストバーン

演者紹介:塚本 樹詩

 独創的なデッキ構築と記事展開で知られるデッキビルダー・ライター。玉石混淆アイディア先行のデッキを数多く試すことや、多くの人に笑いもしくは失笑を与える語り口から『試行落語(トライ&テーラー)』として、畏怖されている。
 プロツアー・ホノルル2009にて初のプロツアー出場を果たし、《破門》マスターとして恐れられた。また2009年度・2011-2012年度プレイヤー・オブ・ザ・イヤーの渡辺 雄也は自宅アパートの二軒隣に住んでいる関係から非常に親交が深く、「渡辺の三次元の嫁」「《渡辺の信奉者》」と呼ばれることも。
 代表作は、栗原 伸豪が危うくプロツアーで使う所だった《ルーン炎の罠》入り新型ハウリングオウルや、渡辺大絶賛の《山賊の頭の間》バーンなどだが、むしろ今後の代表作に期待したい逸材。


 ついに『ラヴニカへの回帰』がリリースされましたね!
 ラヴニカの世界観が帰ってきたということで、各ギルドも再登場してテンションが上がりますね!

 僕の中で一番熱いギルドはゴルガリ!

/

 緑が生命で黒が死をイメージしたような溢れる中二臭。同じような理由でイゼットも魅力的ですね、火+水と相反する要素が同居している設定にドキドキしてしまいます。

 「凍結燃焼」で「フロストバーン」ですよ、奥さん!

 さて、フロストバーンは置いておいて、今回のデッキはゴルガリカラー!

 しかし、今回は少しだけいつもと違う感じでデッキを構築しました。というのもこの前の王子のデッキと方向性が同じなのですよ。
 

 この《高まる残虐性/Increasing Savagery(DKA)》ですが、僕は王子と違ってもっと愚直に《屍体屋の脅威/Corpsejack Menace(RTR)》に打とうと思っていました。
 でもそれだけじゃ似たり寄ったりだなと思い、いっそレア以上のカードはこの2種類だけでデッキを作ったら差別化ができ、初心者にも優しい感じになるのでは!と考えました。

 何より現在は2色ですし、《沼/Swamp(M12)》と《森/Forest(M12)》は極論12枚ずつでもデッキは動きそう!
 最近のカードはコモン・アンコモンでもカードパワーが高いしきっと大丈夫。ということで作ったデッキがこちら。

「ステップ1 まずは打つべし」
8 《沼/Swamp(M12)》
8 《森/Forest(M12)》
4 《ゴルガリのギルド門/Golgari Guildgate(RTR)》
2 《ならず者の道/Rogue's Passage(RTR)》

-土地(22)-

4 《滑り頭/Slitherhead(RTR)》
4 《エルフの幻想家/Elvish Visionary(M13)》
4 《悪名の騎士/Knight of Infamy(M13)》
3 《コロズダのギルド魔道士/Korozda Guildmage(RTR)》
4 《吸血鬼の夜鷲/Vampire Nighthawk(M13)》
4 《国境地帯のレインジャー/Borderland Ranger(AVR)》
3 《屍体屋の脅威/Corpsejack Menace(RTR)》

-クリーチャー(26)-
4 《怨恨/Rancor(M13)》
4 《祭壇の刈り取り/Altar's Reap(ISD)》
4 《高まる残虐性/Increasing Savagery(DKA)》

-呪文(12)-
3 《悲劇的な過ち/Tragic Slip(DKA)》
3 《強迫/Duress(M13)》
2 《死体焼却/Cremate(RTR)》
3 《ゴルガリの魔除け/Golgari Charm(RTR)》
2 《夜の犠牲/Victim of Night(ISD)》
2 《帰化/Naturalize(M13)》

-サイドボード(15)-


 なんとかレアを7枚におさえてデッキを構築、これで『ラヴニカへの回帰』からマジックを始める人でも安心!
 イベントデッキとしてどうでしょうウィザーズさん!と、明後日の方向へのアピールはさておき、デッキの詳しい解説をします。

 序盤は《滑り頭/Slitherhead(RTR)》や《エルフの幻想家/Elvish Visionary(M13)》を出しつつも、自身よりもサイズの大きいクリーチャーをブロックした時は《祭壇の刈り取り/Altar's Reap(ISD)》を使って、一方的なブロックをドローに変えてしまいましょう。時と場合によっては《怨恨/Rancor(M13)》をつけて相打ちを狙うのもいいのですが、手札と相談して場面にあった選択ができれば良いと思います。

 《悪名の騎士/Knight of Infamy(M13)》のプロテクション(白)はとても強力で、守ってよし攻めてよしの1枚なので早めに召喚できたのなら試合は有利に進むはずです。
 このクリーチャーを《怨恨/Rancor(M13)》や《高まる残虐性/Increasing Savagery(DKA)》でバックアップして攻撃すれば瞬く間にゲームに勝利できるでしょう。

 そして《吸血鬼の夜鷲/Vampire Nighthawk(M13)》ですが、このクリーチャーも《悪名の騎士/Knight of Infamy(M13)》と同じくらいの強さを持っています。
 やはりサイズを上げて毎ターン攻撃するだけで、自分のライフをたくさん回復しつつ相手の状況をどんどん不利に追い込めます。

 しかし相手のデッキによっては飛行を持ったクリーチャーを展開されてしまい、《怨恨/Rancor(M13)》がない場合はうまく攻められないことも。
 そんな時は《コロズダのギルド魔道士/Korozda Guildmage(RTR)》の上の能力を使い「威嚇」をつけてみたり、《ならず者の道/Rogue's Passage(RTR)》でブロックされなくするのが良いのですが、それができない時には無理して大きくしないのも一つの手段。

 このように《怨恨/Rancor(M13)》や《コロズダのギルド魔道士/Korozda Guildmage(RTR)》、さらには《ならず者の道/Rogue's Passage(RTR)》を使って、サイズの大きいクリーチャーのダメージを無理やりにでも対戦相手へ与えるのがこのデッキの主な動きですが、《屍体屋の脅威/Corpsejack Menace(RTR)》は最もその動きを体現したカードで、《高まる残虐性/Increasing Savagery(DKA)》をこのクリーチャーに唱えるだけで一気に14/14という恐ろしいサイズになります。

 さらに《高まる残虐性/Increasing Savagery(DKA)》を「フラッシュバック」して墓地から唱えたら+1/+1カウンターの数が凄いことに! これがこのデッキの一番楽しい部分なので、是非ともこの動きで勝つことを前提にゲームを楽しんで欲しいです!

 しかし、相手の妨害カードでうまくコンボが決まらなかったりすることもあるので、サイドボードの《強迫/Duress(M13)》や《ゴルガリの魔除け/Golgari Charm(RTR)》で対抗しましょう。
 妨害カードが多い相手には、攻め手としてはサイズ不足な《滑り頭/Slitherhead(RTR)》や、序盤に唱えるシチュエーションの少ない《祭壇の刈り取り/Altar's Reap(ISD)》と入れ替えるのがベターです。

 今回のサイドボードはどの場面にも対応できるように「丸く」選択したので、この15枚をベースにして自分の環境にあわせて調整しましょう。

 どのカードが有効なのか判断がつかない時には、自分の使っているデッキと同じ方向性のデッキのリストを参考するのもいいですよ! マジックでは2本先取の試合がほとんどなので、サイドボード込みの試合をする回数の方が確率が多く、「サイドボードを制するものは世界を制す」と言っても過言ではないくらい重要な要素であると是非とも認識していてください!


 最初のステップとして、このデッキは楽しくてそれなりの強さを持っているかもしれませんが、使っていくうちに物足りなくなったり、周りのプレイヤーがデッキを強くすることも当然あると思うので、次のステップとしてデッキを強く改造していきましょう。

「ステップ2 もっと打つべし」
7 《沼/Swamp(M12)》
6 《森/Forest(M12)》
4 《草むした墓/Overgrown Tomb(RAV)》
4 《森林の墓地/Woodland Cemetery(ISD)》
2 《ならず者の道/Rogue's Passage(RTR)》

-土地(23)-

4 《滑り頭/Slitherhead(RTR)》
4 《悪名の騎士/Knight of Infamy(M13)》
4 《ロッテスのトロール/Lotleth Troll(RTR)》
2 《コロズダのギルド魔道士/Korozda Guildmage(RTR)》
4 《吸血鬼の夜鷲/Vampire Nighthawk(M13)》
3 《屍体屋の脅威/Corpsejack Menace(RTR)》

-クリーチャー(21)-
4 《怨恨/Rancor(M13)》
3 《強迫/Duress(M13)》
4 《悲劇的な過ち/Tragic Slip(DKA)》
1 《捕食/Prey Upon(M13)》
4 《高まる残虐性/Increasing Savagery(DKA)》

-呪文(16)-
4 《ドライアドの闘士/Dryad Militant(RTR)》
3 《真髄の針/Pithing Needle(RTR)》
1 《強迫/Duress(M13)》
3 《ゴルガリの魔除け/Golgari Charm(RTR)》
2 《血統の切断/Sever the Bloodline(ISD)》
2 《見えざる者、ヴラスカ/Vraska the Unseen(RTR)》

-サイドボード(15)-


 今度はカードプールに制限をかけずにデッキを組みました。一つの完成形としてこのリストを目指すのもいいでしょう。
 地味に2色出る土地が追加されたり、サイドボードがレアだらけになっていたりしますが、一番の変更点はこのクリーチャーの採用でしょう。

 ステップ1のデッキを使っていると、クリーチャーが何らかの条件を達成しない限り相手プレイヤーに戦闘ダメージを通すことが難しいのですが、《ロッテスのトロール/Lotleth Troll(RTR)》を使うことにより条件の達成が易しくなりました。

 自身が既に「トランプル」を持っているのでサイズの特化に専念でき、「再生」もあるので、ある程度の妨害呪文も気にせずに行動ができるようになります。

 それに伴ってデッキ内の攻め手の水準が上がったため、序盤から攻勢を取りやすくなったので《エルフの幻想家/Elvish Visionary(M13)》や《祭壇の刈り取り/Altar's Reap(ISD)》といった中盤以降の優位を築くための下準備をするカードが不必要になりました。
 その中でも《滑り頭/Slitherhead(RTR)》だけは《ロッテスのトロール/Lotleth Troll(RTR)》をすぐに4/3にできる動きが強いので、そのまま残留となりました。やったね!

 ただし、序盤から押せ押せとなって《コロズダのギルド魔道士/Korozda Guildmage(RTR)》の能力を使う場面があまりなさそうなので枚数を減らしました。もしかしたら《屍体屋の脅威/Corpsejack Menace(RTR)》もあまり活躍しないかもしれませんが、そこはデッキのコンセプトなので3枚のままで! 王子みたいに《死橋の大巨虫/Deadbridge Goliath(RTR)》を採用するのもいいかもしれません。

 序盤から攻めたい、ということでメインデッキにクリーチャー除去呪文(《悲劇的な過ち/Tragic Slip(DKA)》《捕食/Prey Upon(M13)》)が2種類採用されましたが、《苛まれし魂/Tormented Soul(M13)》や《さまよう狼/Wandering Wolf(AVR)》を採用してデッキのコンセプトを突き詰めた構築も面白いでしょう。
 お供に《自然の祝福/Blessings of Nature(AVR)》や《レインジャーの悪知恵/Ranger's Guile(ISD)》を入れると、また別の楽しさが生まれますね!

 最後にガラッと変わってしまったサイドボードについて説明すると、《ドライアドの闘士/Dryad Militant(RTR)》は「フラッシュバック」の多いデッキと《堀葬の儀式/Unburial Rites(ISD)》でコストの重く強力なクリーチャーを早出しするデッキへの対策カード。ステップ1では《死体焼却/Cremate(RTR)》がその役割を担っていましたが、ドローよりも序盤からの攻撃力が重要なのでこちらに変わりました。

 《真髄の針/Pithing Needle(RTR)》はこのデッキの苦手なプレインズウォーカー対策。特に1体のサイズを上げて勝ちたいこのデッキでは《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil(ISD)》や《月の賢者タミヨウ/Tamiyo, the Moon Sage(AVR)》に弱いために《真髄の針/Pithing Needle(RTR)》を先置きして抑制できると良いですね。《強迫/Duress(M13)》で先に確認しておくと簡単!

 《血統の切断/Sever the Bloodline(ISD)》は特殊なクリーチャー除去呪文で、「破壊」ではなく「追放」なので《スラーグ牙/Thragtusk(M13)》や《ゲラルフの伝書使/Geralf's Messenger(DKA)》のような厄介なクリーチャーと《未練ある魂/Lingering Souls(DKA)》のような同じ名前のトークンをばら蒔くカードに非常に有効。
 このデッキではフラッシュバックすることが難しいですが、それでもとても影響のある1枚ですね。

 《見えざる者、ヴラスカ/Vraska the Unseen(RTR)》は、動きの遅いデッキや後半息切れしてしまうような相手に入れましょう。必殺技の暗殺者・トークンを《ならず者の道/Rogue's Passage(RTR)》でブロックされなくすれば凄く気持ちいいいいいいい! となること間違いなし!



 このデッキとともにマジック全体に慣れていくのが「ステップ3」です。
 デッキ構築だけではなく、大会への参加やカードのコレクションなど、まだまだ多くの要素がこのゲームには詰まっているので、この記事をきっかけにマジックの世界へと足を踏み入れていただけたら幸いです。

 自分で考えた唯一無二のデッキを使い、皆さんがトーナメントシーンで活躍することを僕は常に応援しています!


 ・・・しかし覚えていて欲しいことが一つだけあります。この世には越えなければいけない壁があり、それが最強の「マンモス・マスター」の存在です。

 多くのことが謎に包まれている彼ですが、常に食物連鎖の頂点に存在し、その尊きを誇示してきました。彼がシャッフルをすれば暴風が吹き荒れ、彼がカードをプレイすれば地割れが起き、彼が投了すれば世界が絶望に包まれる。そんな常に世界に影響を与え続けた彼と対戦できることは非常に名誉なことと言えましょう。

 世界にはこのようなスーパースターが大勢いるので、その素晴らしいプレイヤー達を目標とするのもまた一つの醍醐味。

 今回はデッキ構築から始まるお話でしたが、次回はもっと入口に近い記事になる予定なので乞うご期待!

前の記事: 第81回:高橋純也のデッキ構築劇場・実験的スタンダードデッキ構築1 | 週刊デッキ構築劇場一覧に戻る | 次の記事: 第83回:吉川祐輔のデッキ構築劇場・1パックからはじめる構築入門

トピックス

新着順