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週刊デッキ構築劇場

2012.05.14

第61回:井川良彦のデッキ構築劇場・人間の可能性

演者紹介:井川 良彦

 2007年の横浜でプロツアーに初参加、「初の海外旅行は、マジックのプロツアーで行きたい」という自身の言葉を2010年のプロツアー・サンディエゴで実現、海外緒戦にしてトップ8入賞を決めてみせた「驚嘆の男(ザ・ワンダーリング・ワン)」。
 その後も、伊藤 敦・高橋 純也と組んだ調整チーム『神様へのブラフ』で切磋琢磨し、日本選手権2011で4位に入賞するなど、多忙な日々にあってもフォーマットを問わずマジックに取り組む、情熱あふれるプレイヤー・ライターである。


 どうも、井川です!

プロツアー・アヴァシンの帰還

 まず初めに、この場を借りてプロツアー・アヴァシンの帰還にて3位入賞、8位入賞とそれぞれ素晴らしい成績を残した行弘 賢、清水 直樹の2人に心から祝辞を送りたいと思います!

 本当におめでとう!!!

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 友人が活躍しているところを見ると、嬉しいのと同時に「次は自分も!」とテンションが上がってしまいますね。

 そして、プロツアー・アヴァシンの帰還が終了し、今シーズンが終了したことにより、マジック・ワールド・カップの各国代表のプロポイント枠1名が確定しました。

 プロポイント枠の日本代表は、実力と実績を兼ね備えた、世界最強候補のこの人。

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 過去にも2回日本代表になっている渡辺 雄也。
 3度目の正直として、今度こそ日本を優勝に導いてくれると信じています!


 ワールド・マジック・カップ予選はこれから東京・名古屋・大阪で行われ、それぞれ1名、計3名の日本代表が選出されます。

 ワールド・マジック・カップ予選のフォーマットは、「アヴァシンの帰還」が入ったスタンダード。

 「青白Delver」「赤緑《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run(ISD)》」「エスパーコントロール」「赤緑白《出産の殻/Birthing Pod(NPH)》」などといった、多少閉塞してしまっていたとも言える環境に、「アヴァシンの帰還」による新しい風が革新をもたらします。

 新しい戦力を加え、環境を見極めながらデッキを組んでいく工程は、カードゲームならではの醍醐味と言えますよね。
 例えば、「Delver」も「アヴァシンの帰還」の新たなカードを加えて、このような形も出てくるかもしれません。

Spirit Delver
5 《島/Island(AVR)》
1 《平地/Plains(AVR)》
1 《沼/Swamp(AVR)》
4 《金属海の沿岸/Seachrome Coast(SOM)》
3 《氷河の城砦/Glacial Fortress(M10)》
4 《闇滑りの岸/Darkslick Shores(SOM)》
2 《ムーアランドの憑依地/Moorland Haunt(ISD)》
2 《進化する未開地/Evolving Wilds(DKA)》

-土地(22)-

4 《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》
4 《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》
3 《幻影の像/Phantasmal Image(M12)》
4 《ドラグスコルの隊長/Drogskol Captain(DKA)》
2 《地下牢の霊/Dungeon Geists(DKA)》

-クリーチャー(17)-
3 《はらわた撃ち/Gut Shot(NPH)》
4 《蒸気の絡みつき/Vapor Snag(NPH)》
4 《思考掃き/Thought Scour(DKA)》
4 《順風/Favorable Winds(AVR)》
2 《マナ漏出/Mana Leak(STH)》
4 《未練ある魂/Lingering Souls(DKA)》

-呪文(21)-
1 《幻影の像/Phantasmal Image(M12)》
2 《地下牢の霊/Dungeon Geists(DKA)》
2 《変異原性の成長/Mutagenic Growth(NPH)》
1 《はらわた撃ち/Gut Shot(NPH)》
2 《外科的摘出/Surgical Extraction(NPH)》
2 《鋼の妨害/Steel Sabotage(MBS)》
1 《啓蒙/Demystify(10E)》
2 《天界の粛清/Celestial Purge(CON)》
2 《機を見た援軍/Timely Reinforcements(M12)》

-サイドボード(15)-

 《ドラグスコルの隊長/Drogskol Captain(DKA)》、《幻影の像/Phantasmal Image(M12)》、《順風/Favorable Winds(AVR)》で、もう《金屑の嵐/Slagstorm(MBS)》も怖くない!!

 《清浄の名誉/Honor of the Pure(M10)》と違って、《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration(ISD)》や《地下牢の霊/Dungeon Geists(DKA)》が強化されるのは見逃せないポイントですね。


 さて、ゲームであると同時に真剣勝負である以上、勝ち負けが大事になってくるのはもちろんですが、やはりそこは楽しんで勝ちたいもの。

 派手な勝ち方、派手な盤面は誰もが目を奪われるでしょう。


「派手な勝ち方」!

 それはもちろん、前回ご紹介したように《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn(ROE)》のような大型生物で殴りきることもそうですが、「瞬殺」というフレーズも、また派手な勝ち方という言葉にふさわしいのではないでしょうか。

 派手といえば、つい最近「アヴァシンの帰還」ドラフトをやっていたら、こんな場面に遭遇しました。

 2ターン目《クルーインの打撃者/Kruin Striker(AVR)》。
 3ターン目《暴動の首謀者/Riot Ringleader(AVR)》。《クルーインの打撃者/Kruin Striker(AVR)》アタックで3点。

 4ターン目《屋根職人の反乱/Thatcher Revolt(AVR)》。
 フルアタックで...


 ...15点!!!??

 リミテッドで、しかもコモン3枚でこんなダメージが叩きだせるなんて!

 特に《屋根職人の反乱/Thatcher Revolt(AVR)》の嵌ったときのダメージ量は、3マナの呪文の中では最上級と言えるのではないでしょうか。

 もし1ターン目に《教区の勇者/Champion of the Parish(ISD)》が戦場に出ていれば。もし《信号の邪魔者/Signal Pest(MBS)》や《ゴブリンの戦煽り/Goblin Wardriver(MBS)》と一緒にアタックすれば。
 その爆発力は「ホワイト・ライトニングと呼ばれ恐れられた《要撃/Waylay(USG)》をも超えることができるでしょう。

 「このカード達は、きっとこのスタンダード環境に一石を投じるに違いない!」

 そう叫びながら(注:叫んでません)、《クルーインの打撃者/Kruin Striker(AVR)》《暴動の首謀者/Riot Ringleader(AVR)》《屋根職人の反乱/Thatcher Revolt(AVR)》を中心に組んだデッキが、このデッキです!!


 このデッキで、ワールド・マジック・カップ代表の座はもらった!!!

「人間だもの」
2 《山/Mountain(AVR)》
1 《平地/Plains(AVR)》
1 《島/Island(AVR)》
4 《魂の洞窟/Cavern of Souls(AVR)》
4 《剃刀境の茂み/Razorverge Thicket(SOM)》
4 《金属海の沿岸/Seachrome Coast(SOM)》
4 《銅線の地溝/Copperline Gorge(SOM)》
1 《断崖の避難所/Clifftop Retreat(ISD)》
2 《進化する未開地/Evolving Wilds(DKA)》

-土地(23)-

4 《アヴァシンの巡礼者/Avacyn's Pilgrim(ISD)》
4 《教区の勇者/Champion of the Parish(ISD)》
3 《翼作り/Wingcrafter(AVR)》
4 《クルーインの打撃者/Kruin Striker(AVR)》
4 《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》
4 《アヴァブルックの町長/Mayor of Avabruck(ISD)》
2 《黄金夜の指揮官/Goldnight Commander(AVR)》

-クリーチャー(25)-
4 《変異原性の成長/Mutagenic Growth(NPH)》
4 《町民の結集/Gather the Townsfolk(DKA)》
4 《屋根職人の反乱/Thatcher Revolt(AVR)》

-呪文(12)-
4 《高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells(DKA)》
3 《士気溢れる徴集兵/Zealous Conscripts(AVR)》
3 《はらわた撃ち/Gut Shot(NPH)》
2 《存在の破棄/Revoke Existence(SOM)》
3 《自警団の正義/Vigilante Justice(AVR)》

-サイドボード(15)-


 あ、ありのままに今起こったことを書くと、僕はは赤白人間を回しているはずだったのです。
 しかし、いつのまにか色が増えていた。
 何を言ってるのかわからないと思うでしょうがが、僕自身何が起こったのかわからなかった・・・ デッキ構築の深淵とかそういうレベルではなく、もっと恐ろしいものの片鱗を味わいました・・・。

 ということで4色人間ビートです!!

 本当に手札を綺麗に展開できるのか。
 誰か筆者に基礎を教えてくれる人間はいないのか。
 そして、《暴動の首謀者/Riot Ringleader(AVR)》は何処に消えてしまったのか。

 考えれば考えるほど、謎が謎を呼ぶこのデッキ。

 その謎と強さの真髄を見ていきましょう!


《教区の勇者/Champion of the Parish(ISD)》

 人間デッキならこのカードを入れないわけにはいかないですね。

 クリーチャーはもちろん、《屋根職人の反乱/Thatcher Revolt(AVR)》《町民の結集/Gather the Townsfolk(DKA)》といったカード含めてもクリーチャータイプ・人間率100%!
 最高のパフォーマンスを発揮できること間違いなし!


《アヴァシンの巡礼者/Avacyn's Pilgrim(ISD)》

 ビートダウンはマナ域を軽く組めっておばあちゃんに教わりました。
 《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves(M10)》とは違うのだよ!が口癖の《アヴァシンの巡礼者/Avacyn's Pilgrim(ISD)》は、後述する《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》の重さをカバーしつつ、デッキのマナサポートとしても完璧。


《翼作り/Wingcrafter(AVR)》

 打撃力は高くても回避能力が無い《教区の勇者/Champion of the Parish(ISD)》《クルーインの打撃者/Kruin Striker(AVR)》をサポートするのが、「アヴァシンの帰還」期待の新人《翼作り/Wingcrafter(AVR)》。

 今日も一緒に、アイキャンフラーイ!ユーキャンフラーイ!


《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》

 そうです。ヴィンテージからスタンダードまで大活躍中のこいつも、もちろん人間なのです。

 《町民の結集/Gather the Townsfolk(DKA)》《屋根職人の反乱/Thatcher Revolt(AVR)》をフラッシュバックして盤面を人間祭にして良し、《変異原性の成長/Mutagenic Growth(NPH)》をフラッシュバックして戦闘を有利にしたり、火力をよけても良し。

 このデッキの為に作られたカードと言っても過言ではないでしょう!
 言い過ぎました! ごめんなさい!


《アヴァブルックの町長/Mayor of Avabruck(ISD)》

 《暴動の首謀者/Riot Ringleader(AVR)》をリストラに追いやった張本人です。

  • 3マナ:攻撃時に+1/+0
  • 2マナ:常時+1/+1

 のどちらが強いかは一目瞭然。名前だけ見ても、暴動の首謀者よりも町を治めている人の方が安泰ですよね。権力は力。

 今回はデッキのスペースの都合上採用できませんでしたが、《小村の隊長/Hamlet Captain(ISD)》も採用候補です。
 《アヴァブルックの町長/Mayor of Avabruck(ISD)》と同じ2マナですが、《はらわた撃ち/Gut Shot(NPH)》に強いのがGood!


《黄金夜の指揮官/Goldnight Commander(AVR)》

 「黄金」の「指揮官」! 名前からして強そう!
 そう考えたあなた、正解です。

 クリーチャーというカードは、「速攻」を持たない限り、その性質上「トップデッキ」してもそのターンにはダメージを与えることができず、返しのターンに負けてしまうということが往々にあります。

 ですが、このカードさえあれば全てのクリーチャーが《栄光の頌歌/Glorious Anthem(USG)》になるのです!!
 トップデッキ《屋根職人の反乱/Thatcher Revolt(AVR)》からのフルアタックなど、想像するだけで気持ちが高まりますね!


《変異原性の成長/Mutagenic Growth(NPH)》

 唯一「人間」カードではないのがこのカード。
 クリーチャーの展開にどうしてもマナを使いがち、しかも殴るしか能がないこのデッキにとっては、非常に使いやすい呪文です。
 痛そうに感じるファイレクシア・マナの支払いも、《町民の結集/Gather the Townsfolk(DKA)》の「窮地」の誘発を助けてくれます。


《魂の洞窟/Cavern of Souls(AVR)》

 こんな無茶なマナベースもこのカードの存在あってこそ。
 「タップインでない」「デメリットなくマナが出る」「好きな色マナが出る」「カウンターされない」と、まさに良いことずくめですね。
 《原初の彼方/Primal Beyond(MOR)》《古代の聖塔/Ancient Ziggurat(CON)》辺りと見比べると、その性能差にビックリします。

 これからスタンダードで1年以上、モダンやレガシーといった環境でも使われ続けるであろう、非常に強力な1枚です。


《高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells(DKA)》

 説明不要な強力カード。
 狼男だって人間です!


《士気溢れる徴集兵/Zealous Conscripts(AVR)》

 詳しくはコガモの記事をどうぞ!
 各種タイタンを奪うのも気持ち良いですけど、個人的には《刃砦の英雄/Hero of Bladehold(MBS)》を奪って殴りたいですね!
 さーて、ダメージ何点入るかな??


《自警団の正義/Vigilante Justice(AVR)》

 いうなれば、自分専用の《伏魔殿/Pandemonium(TSB)》。
 にっくき《漸増爆弾/Ratchet Bomb(SOM)》も《審判の日/Day of Judgment(ZEN)》も、これさえあれば大丈夫です!

 《町民の結集/Gather the Townsfolk(DKA)》が《二股の稲妻/Forked Bolt(ROE)》に、《屋根職人の乱/ThatcherRevolt(AVR)》が《弧状の稲妻/Arc Lightning(USG)》に早変わり!!

 2枚戦場に出たなら、殴ることなくゲームに勝つことも不可能ではありません!



 4色人間デッキ、いかがだったでしょうか。

 ビートダウン。速さと強さのハーモニー。
 それは往々にしてマナベースの強さと反比例してしまうものなのです。

 人間と人間が織り成す、絆。
 それによる圧倒的なまでの、力。
 瞬殺。瞬殺。また瞬殺。「そんなデッキ回るの?」という言葉を聞き流しながらの瞬殺。

 その一方で、手札の色と土地の供給するマナが噛み合わずに悔し涙を流したり、
 《屋根職人の反乱/Thatcher Revolt(AVR)》が初手に4枚来てマリガンしたりと、己の不運を嘆くこともあるでしょう。

 そんな時は、この言葉を思い出して下さい。

 事故ることだってあるさ マジックだもの

 ゐかわ


 それでは、また次のデッキでお会いしましょう!
 皆さんも一緒に、レッツビートダウン!!

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