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第48回:鍛冶友浩のデッキ構築劇場:《ゲラルフの伝書使》
2012.02.06
第48回:鍛冶友浩のデッキ構築劇場:《ゲラルフの伝書使》
演者紹介:鍛冶 友浩
『世界のKJ』。世界的な認知度の高いデッキビルダーであり、現在はトーナメントシーンの一線を退いてはいるが、多くの練習とレベルの高い理論により、数々のプレイヤーから信頼を得ている。
スクラップ&ビルドを繰り返し、練習時に欠点を洗い出した上で、独創的な方法で克服した練度の高いデッキを構築することから、『欠点の破壊者(クラックスミス)』の二つ名がある。
主な戦績は、プロツアー・チャールストン06優勝・世界選手権05トップ4を含むプロツアートップ8入賞3回、グランプリ・北九州05優勝など。代表作は、Rage against the Machine・セプターチャント(北九州の形はモリカツ型と呼ばれるが、メインの構築者は鍛冶)・ストラクチャー&フォース他多数。
現在、mtg-jp.comにて火曜日に『鍛冶友浩の「デジタル・マジック通信」』を週刊連載中。
「このカード、どう考えたって強いに決まっている!」
新しいセットが発売されるたびにカードリストを眺めていると、そう思わせてくれるカードが幾つかは見つけられるはずだ。
例えばイニストラードのリリース直後。
《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil(ISD)》は3マナのプレインズウォーカーでありながら即座にパーマネントに干渉できる能力を持ち、双方の手札を捨てさせる[+1]能力も、うまく構築することでデメリットを相手だけに押し付けることもできる。
そしてスタンダードでは、《太陽のタイタン/Sun Titan(M12)》《禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy(ISD)》《堀葬の儀式/Unburial Rites(ISD)》といった高カロリーなカードに囲まれてトーナメントでも活躍しているのだが、では他にはどんなデッキに使われているだろう?
その費用対効果の高さゆえに設定されたコストの{B}{B}、古くからある多色土地の使用を認められている環境であるレガシー、モダンではあまり気にならないが、いざスタンダードで黒のダブルシンボルを産み出そうとすると案外難しい。
今流行りの《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft(ISD)》への非常にエレガントな回答になってくれる予感がするのだが、頭に浮かぶ黒いカードは《破滅の刃/Doom Blade》や《黒の太陽の頂点/Black Sun's Zenith(MBS)》《墓所のタイタン/Grave Titan(M12)》と、結局はソーラーフレアに逆もどりしてしまうという堂々巡りだった。
《ファイレクシアの抹消者/Phyrexian Obliterator(NPH)》や《ゲスの評決/Geth's Verdict(NPH)》といったカードもなかなか扱うのは難しく、正直なところ、今までは黒にとって不遇な時代だったのかもしれない。
だが、闇の隆盛から新しいトリプルシンボルのお友達、《ゲラルフの伝書使/Geralf's Messenger(DKA)》がやってきた!
頑強で馴染みのあった《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》と同じく3マナ3/2だが、こちらは「不死」でサイズが大きくなるわけだし、戦場に出ると直接相手のライフを減らす効果を考えれば、カードパワーは明らかにこちらの方が高いといえるはず。
今までは単色で構築するにはカードが足りず、上手くまとまらなかったのかもしれない。
だからこそ、活躍の機会を逃していたカードもあるはずだ。
Twitter上で見かけた、
「"闇の隆盛"に期待していたけれど、闇が隆盛していない!」
というコメントをしている方たちに、このデッキを提案してみよう。
| 25 《沼/Swamp(SOM)》 -土地(25)- 4 《墓所這い/Gravecrawler(DKA)》 4 《戦墓のグール/Diregraf Ghoul(ISD)》 4 《名門のグール/Highborn Ghoul(DKA)》 4 《ゲラルフの伝書使/Geralf's Messenger(DKA)》 3 《墓地を刈り取るもの/Cemetery Reaper(M12)》 4 《ファイレクシアの抹消者/Phyrexian Obliterator(NPH)》 -クリーチャー(23)- | 4 《ゲスの評決/Geth's Verdict(NPH)》 3 《戦争と平和の剣/Sword of War and Peace(NPH)》 1 《鞭打ち悶え/Lashwrithe(NPH)》 4 《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil(ISD)》 -呪文(12)- | 3 《蔑み/Despise(NPH)》 3 《虚無の呪文爆弾/Nihil Spellbomb(SOM)》 1 《グール呼びの詠唱/Ghoulcaller's Chant(ISD)》 2 《破滅の刃/Doom Blade》 2 《喉首狙い/Go for the Throat(MBS)》 4 《困窮/Distress》 -サイドボード(15)- |
黒以外の色を諦めることで、今のスタンダード環境ではとても珍しい「基本土地の《沼/Swamp(SOM)》25枚」というデッキを構築してみたが、いかがだろうか?
このマナベースなら、《ファイレクシアの抹消者/Phyrexian Obliterator(NPH)》や《ゲラルフの伝書使/Geralf's Messenger(DKA)》も土地の数さえ揃えば、無色マナ呪文のごとくたやすく唱えることができるようになるのだ。
通常は無理な単色化はデッキ全体のパワーを下げることになるだけだが、ここまで色拘束とポテンシャルをトレードオフしたカードがあるならば十分戦える。
基本的な戦略は1マナでパワー2を持つ《墓所這い/Gravecrawler(DKA)》、《戦墓のグール/Diregraf Ghoul(ISD)》から始まる総勢19体のゾンビ集団で攻撃を仕掛け、
フィニッシャーの《ファイレクシアの抹消者/Phyrexian Obliterator(NPH)》や《鞭打ち悶え/Lashwrithe(NPH)》で止めをさすシンプルな構成だ。
サポートには対青白を意識したカードを多く採用している。
《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft(ISD)》の呪禁の影響は全く受けない除去が8枚と、プロテクション(白)を持たせる《戦争と平和の剣/Sword of War and Peace(NPH)》も3枚、と抜かりなくしたつもりだ。
だが、サイドボードに除去や手札破壊が採用されていることから伝わるように、若干の無理があるように感じるかもしれない。
そういった場合は、最小限の2色目をスプラッシュするのも一つの手だろう。
イニストラードには対抗色の白と緑を産む《孤立した礼拝堂/Isolated Chapel(ISD)》や《森林の墓地/Woodland Cemetery(ISD)》といった土地がある。
例えば、《戦争と平和の剣/Sword of War and Peace(NPH)》が通用しない相手には、《出産の殻/Birthing Pod(NPH)》+《組み直しの骸骨/Reassembling Skeleton(M12)》というシステムを組み込むことで、《墓所這い/Gravecrawler(DKA)》から《組み直しの骸骨/Reassembling Skeleton(M12)》へ、《ゲラルフの伝書使/Geralf's Messenger(DKA)》を不死させながら《ファイレクシアの抹消者/Phyrexian Obliterator(NPH)》へと繋ぐこともできる。
他にも、《命取りの魅惑/Deadly Allure(DKA)》ならば《ファイレクシアの抹消者/Phyrexian Obliterator(NPH)》とコンボをしつつ、《森林の墓地/Woodland Cemetery(ISD)》を引けばラッキー、なんて考えかたもあるだろう。
基本セット2012とミラディンの傷跡には友好色の土地が2種類あり、あくまで必要なのは黒マナであって《沼/Swamp(SOM)》ではないので、組みようはいくらでもある。
紹介したデッキリストは単色で戦略もシンプルな構成になっているが、ここから更に、どうヒネるかが構築プレイヤーの腕の見せ所?
オデッセイ・ブロックの頃にこういった単色にスプラッシュという手法があったので、興味がある人は各自で自習しておくように(笑)!
それではまた、週刊連載で!
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