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戦略記事

Beyond the Basics -上級者への道-

プレインズウォーカーの死

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プレインズウォーカーの死

Gavin Verhey / Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing

2017年6月29日


 最初はうまくいっていたのに、厄介なプレインズウォーカーが登場してしまい、肥大するアドバンテージという脅威がゲームを支配していく。この大いなる脅威に対処しなければ先はないと気付き、あなたの歯はガチガチと鳴り始める。

 偉大なるニコル・ボーラスは、他のプレインズウォーカーが好き勝手にふるまうことを許しはしないだろう。全くもって煩わしいやつらだ。


アート:Raymond Swanland

 みんなも同じ気持ちじゃないかな。しかし幸いなことに、クリーチャーがいればプレインズウォーカーを攻撃することで対処できる。それについては「渡る次元の歩き方」で前に扱った。要するに、クリーチャーはプレインズウォーカーに対抗する最高の武器の1つということだ。

 ......しかしクリーチャーがいなかったら?

 ああ、それは問題かもしれない。取れる行動はどんどん制限されていくだろう。しかしその状況は、あらかじめ想定して準備しておかなければならないものだ!

 では、どうすればいいだろうか?

デッキを自己判断する

 前もって様々なデッキについて理解しておくのは、非常に重要なことだ。たいていのデッキなら、クリーチャーで攻撃するだけでもプレインズウォーカーをどうにか処理できる。しかしいくつかのデッキはそうじゃない――クリーチャーでの攻撃をいつでも行えるわけではないデッキについて、あらかじめ認識しておかなければならない。

 これは戦略上、コントロール・デッキで最もよく見られる事態だ。基本的にそのデッキはクリーチャーが少なく、特に序盤はかなり少ない。ミッドレンジ・デッキやコンボ・デッキ、あるいはランプ(訳注1)・デッキにも当てはまるが、とりわけコントロールにとって大きな問題となる。コントロールにとってプレインズウォーカーは、自分で展開したいものであり、なおかつ相手には展開させたくないものだ。

(訳注1:ランプ/マナを伸ばす行動)


アート:Kieran Yanner

 コントロール・デッキは盤面を支配し、少しずつアドバンテージを積み重ねて、最後には対戦相手を圧倒する。そしてそれは、ああ、対戦相手がカードを引いたり、トークンを生成したり、あるいは卑劣にもプレインズウォーカーのさまざまな能力を毎ターン使ってくるようでは難しくなる。

 そう、それはコントロールにとって問題だ。どんな手で対処しようか?

打ち消し呪文

 プレインズウォーカーが強力と言われる理由の1つは、それが戦場に出たとき、常にその効果を(どれか1つは)発揮できるところだ。プレインズウォーカー呪文が解決されれば、そのプレイヤーは優先権を得るので、そのまま能力を起動できる。

 しかしながら、「解決」されれば、というところが鍵だ。


アート:Kieran Yanner

 マジック誕生以来、プレインズウォーカーに対する、いや......あらゆるものに対する最も強力な回答の1つが、打ち消し呪文だ。そして打ち消し呪文が常に最強ではないフォーマットにおいてさえ、青を基盤とするコントロール・デッキは、ミラーマッチ(訳注2)で重要な呪文をいなすためにも打ち消し呪文を採用する。

(訳注2:ミラーマッチ/同じデッキタイプ同士での対戦)

 これが、例えば青いデッキのサイドボードに、《否認》のようなカードが頻繁に採用される理由のひとつだ。この2マナの打ち消し呪文は、状況に対する回答となるカードと、コントロールが唱えるプレインズウォーカーの脅威、その両方に対抗する役割が持てるので、サイドボードの選択肢としてはかなり安定している。対戦相手がより攻撃的なデッキであっても、《否認》はさまざまな呪文に対してよい対抗策となりうる――その中にはプレインズウォーカーも含まれるだろう。

 プレインズウォーカーへの対策が不安なら、打ち消し呪文は信頼できる対抗手段だ。対戦相手のプレインズウォーカー呪文が解決されないなら、その能力を使われる心配はない。

プレインズウォーカーを狙って破壊する

 プレインズウォーカーの普及を受けて、我々はそれを狙って対処するためのカードをいくつか作る機会を得た。

 例えば、《不帰 // 回帰》や《月への封印》だ。

 これらのカードは、対処できるカード・タイプの1つにプレインズウォーカーを含んでいる。プレインズウォーカーのせいで負けてしまうという不安があるなら、これらをいくつか用いることで、確実に状況を改善できるだろう。仮に、その呪文がやや非効率的なものであっても、それを採用すれば確実な回答になる。他に対抗策がないなら、採用するだろう。デッキの除去枠に、他の除去呪文とこれらの呪文を分割して採用するという考えは、まったくもって妥当な判断だ。

 これも忘れないでほしい。プレインズウォーカーはパーマネントだ。《排斥》や《苦渋の破棄》のようなカードも、プレインズウォーカーをうまく処理できる。

火力と速攻

 赤のコントロール・デッキを使っていれば、デッキには火力呪文がいくつか入っているだろう。その中には、プレイヤーにダメージを与えられるものもあるはずだ。したがって、そのダメージはプレインズウォーカーに移し替えることができる。これはプレインズウォーカーを制圧下に置く素晴らしい手段だ。

 プレインズウォーカーに対処したいのであれば、火力呪文が与えるダメージ量を考慮しなければならない。例として《ショック》を取り上げてみよう。

 《ショック》はとても手堅いカードだが、プレインズウォーカーを相手取るには力不足だ。時には2枚を引き込んでその効果を2倍に引き上げることもできるだろうが、それでも1枚のカードを処理するために2枚のカードを使用しなければならないという不利には変わりなく、たいていのプレインズウォーカーは忠誠度が5以上ある点も問題となる。

 もしプレインズウォーカーを警戒しているのであれば、代わりに《焼夷流》などを採用する手もあるだろう。

 《焼夷流》なら、2枚引けばほぼ確実にプレインズウォーカーを処理できる。《焼夷流》と《ショック》の合わせ技でもほとんどのプレインズウォーカーに対処できるだろう。

 他の手段としては、速攻がある。コントロール・デッキが中型の速攻クリーチャーを切り札として使うことはあまりないが、何もないところからプレインズウォーカーを退場させることができるか否かは大きな違いとなるはずだ。《栄光をもたらすもの》を考えてみよう。

 ドカン! デッキに入れるクリーチャー数を減らしたい理由も色々とあるかもしれないが、《栄光をもたらすもの》はゲームを決めるための手段としても、クリーチャーやプレインズウォーカーに対処するための手段としても素晴らしい。そしてこいつはMagic Onlineで生放送をしているプレイヤーにとっては、相手のライブラリーの一番上にいつもいるやつなんだ。

 ああ、これらはどれも素晴らしい対抗策だ――だが、他にはどんな選択肢があるだろうか?

破滅の刻

 私は今日、話したくてしょうがないことがある。破滅の刻についてだ。いや、『破滅の刻』の話というだけじゃない。もっと狭い意味でだ。

 ちょっとわかりにくかったかな。

 私は映画を見ている最中に会話するのが好きじゃない。もちろん、面白いシーンで笑うのはいいよ。だけど視聴中の会話については、私の映画鑑賞グループの中では遠慮してもらってるのさ。しかしそこには、認められている1つの例外がある。誰かの家で一緒に見ているときに、登場人物がその映画のタイトルを一字一句たがわずセリフとして最初に口に出した時だけは、「~だって!」と叫んでもいいんだ。なぜかって、そりゃあ、その映画のタイトルを言っただけだからね。

 つまり、今日紹介するプレビュー・カードはこれだ。

jp_8Dtc89JMF5.jpg

「破滅の刻だって!」

 そうだ! このセットのタイトルと同じだ。そして、もしコントロールがプレインズウォーカーへの回答を必要としているのなら――これを使おう!

 戦場のほとんどのクリーチャーを除去してしまう5マナのカードというだけでなく、たいていのプレインズウォーカーも一緒に排除してくれるはずだ。基本的に全体除去呪文は、クリーチャーとプレインズウォーカーをまとめて処理できないという問題があり、どう行動すべきかの判断が困難になる。例えクリーチャーを除去しても、対戦相手は次のターンにプレインズウォーカーの能力を使うだろう。

 《破滅の刻》がすべてを変えるんだ。

 私はこのカードが、これから数週間、あるいは数か月にわたって良い評価を得ると見込んでいる。おや、ボーラスがこれに影響されず悠然と滞在する、そのための一文に気が付いたかな? 王神を出してからの次の一手としては完璧さ。

 プレインズウォーカーはやれるうちに倒しておこう。

プレインズウォーカーの退場

 今日取り上げた、プレインズウォーカーと戦うための方法に興味を持ってくれれば幸いだ! 秘めたる計画を解き放ち、対戦相手のプレインズウォーカーを真の恐怖に陥れよう。

 来週末にはプレリリースを迎え、もうすぐ『破滅の刻』と《破滅の刻》を体験する機会がやってくる。すぐ後には、気になる新しいスタンダード環境のお出ましだ。あなたのデッキ構築エンジンを点火しよう!

 今日の記事について何か考えや疑問はあるかな? ぜひとも聞かせてくれ! TwitterTumblr、あるいはBeyondBasicsMagic@Gmail.comに(すまないが英語で)メールしてくれれば、いつでも読ませてもらうよ。

 『破滅の刻』、その最後の紹介を楽しんでくれ! また来週会おう。

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight / beyondbasicsmagic@gmail.com

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