読み物

ワールドウェイクのもっとも注目すべきカードの一つは、土地だ。しかし、土地が何故注目なのか?
ここから先の話しをする前に、ゼンディガーの世界観を少しおさらいしていこう。ゼンディカーは「探検」「冒険」をテーマにしたセットだ。
ゼンディカーの世界は7つの大陸からできており、激しいマナと古代の遺跡、それを求めるプレインズウォーカーと、遺跡の宝を狙う冒険者が中心になって物語を作っている。例えば、ゲームの罠というシステムも、宝探しを目的とした冒険者を防ぐための罠という世界観の意味とリンクしている。同盟者もゼンディカーという世界の危険から身を守るために作られた組織だ。
では、土地はどういうことなのか、この土地には2つの意味がある。まずは、激しいマナを表した、ゼンディガー特有の気性である。今回収録された、《天界の列柱》のようなクリーチャー化土地はゼンディカーの世界自身の防衛本能のようなものであるとされ(厳密には良く分からない)、もともと居た種族に関わりがあるどころか、その種族を脅かしているくらいだ。柱やらタール坑が動きだしているのだから、確かに怖い。
このクリーチャー化する土地は、ストーリー上はもちろん、スタンダードの環境も左右するものになるだろう。それは、今までの経験から言っても間違いない。特に今回は2色のマナサポートも兼ねている。同時に起動コストに2色を要求するためにデッキを選ぶが、色が合うなら入れておいて損はない。このクリーチャー化する、土地を説明するのにぜひこの画像を見てもらうと分かりやすいと思う。
はい説明終了。
なんだ、この土地は。はっきりいって、こんな説明しがいの無いつよいカードには興味は無い。君達は今までに《樹上の村/Treetop Village》に殴られた回数を覚えているのか?クリーチャー化する土地が出るならデッキに入れる、誰だってそーする。俺だってそーする。2色デッキならとりあえず、4枚入れて考えておけばいいし、3色デッキなら適した枚数を入れていけばいい。
![]() |
というわけでクリーチャー化する土地はそこら辺に置いておいて、本題に入ろう。実は僕が興味あるのは、土地の2つめの意味。世界に存在する面晶体の存在だ。この面晶体の存在はブースターパックにある基本地形の中から見て取れる。8面体のような形の、浮いているものもそうで、面晶体はゼンディカーのエキスパンションシンボルにもなっている。
この面晶体は古代の遺物の中でも謎多きものとして語られている。目的は分からないが、ゼンディカーの遥か古代の帝国は重力を固定し、空に浮く建造物を立てたということは間違いない。
僕は謎多き、ミステリーが好きだ。ゼンディカーの世界の謎、そしてワールドウェイクの意味の鍵はここにある気がする。今回はその真相に迫っていくためのキーとなる土地に注目して、今後、どういったことになるかというのを考えていきたい。では、この、一つのカードを見てもらいたい。
《ウギンの目》。この伝説の土地カードの能力は2つ、無色のエルドラージ呪文のコストを2マナ下げる常在型能力と、7マナとタップで無色のクリーチャーカードを持ってこられる起動型能力だ。
このカードは通常のマナが出ないし、起動型能力も非常に重い。そして、エルドラージ呪文というのは現状では1枚も存在しない。ゲーム内、今現在のスタンダード環境においてもっとも影響力の無い神話レアといえるだろう。しかし、逆にストーリー上ではもっとも重要なカードであり、次期エキスパンションである「エルドラージ覚醒」に関わるものであるというのは想像に難くない。
では、この《ウギンの目》は今後、どれだけの影響力があるのだろうか。出てみないと分からないというのがほとんどの意見だと思うし、確かにそうだ。しかし、このカードの価値はある程度予測できるような、材料も出されている。ミステリーの面白いところは、断片的な材料をつなぎ合わせて、一つの真相にたどり着くカタルシスにある。この現在のゲームに関係のない《ウギンの目》が何故、ワールドウェイクに収録されているのか、意味のないカードが収録されている意味はなんだろうか。それは、開発部が課したプレイヤーに対する挑戦なのだと思う。このカードの価値をどう判断するか?というのは、このミステリーを解決できますか?といっているのだ。
《ウギンの目》の一つのポイントはエルドラージという用語だ。エルドラージはかつて《ソリン・マルコフ/Sorin Markov》がゼンディカーに封印した災厄といわれている。エルドラージ呪文というのは、かつて古代に使われた呪文、つまり、重力を無視するだけの力を持った世界の呪文であるといえるのではないだろうか。これは通常の呪文と違い、オーバースペックな呪文、もしくはある種の特徴を持った呪文であると言えるだろう。
そして、軽減されるマナが無色のエルドラージ呪文であるという点、また起動型能力が無色のクリーチャーカードに関係ある点、というのも一つのキーポイントだ。ここでいう、無色の呪文とは一体何なのかという問題がある。一つの解答としては当然、アーティファクトだ。しかし、エルドラージ呪文が、全てアーティファクトであるかというとそれは考えにくい。無色の呪文という言い方は、あえて有色のカードと対比しているし、また、アーティファクトに限定されないというのが、この文章から読み取れる。
たとえば、かつてシャドウムーアでは混成マナコストを使った無色マナでも唱えられるソーサリーやインスタントもあった。その色マナ部分を取っ払うと無色のソーサリーやインスタントになる。もしかしたら、純粋に無色のソーサリーやインスタントで溢れている世界なのかも?
しかし、それはありえないだろう。ラージエキスパンションでほとんどのカードが無色ではリミテッドも成り立たない(ミラディンも、パーマネント以外は無色ではなかった)し、色を使った構築というものに反しすぎる。では、無色のエルドラージ呪文と無色のクリーチャーというのは何なのか。そこでひとつのカードを見てもらいたい。
そう、世界の災厄エルドラージは「からくり」だったのだ。この「からくり」ならば、古代の文明の隆盛も納得がいく。そして、次のセットは「からくり」を中心として無色が大暴れし......ないないないない。間違えた。本当はこっち。
これは、色マナを持った無色のインスタントだ。この《幽霊火》は未来予知のカードであり、未来予知のカードは未来のカードを表している。そして、フレーバーテキストにはこう記されている。
「精霊のドラゴン、ウージンの眼を得た者のみが、彼の炎を見ることができる」
(原文フレーバーテキスト:Only those gifted with the eye of Ugin, the spirit dragon, can see his fiery breath.)
と、ここでのウージンの眼とは、ウギンの目に間違いない。
このインスタントは色マナを持った呪文でありながら、同時に無色である。つまり、エルドラージ呪文の多くは、そういった特性を持っているのだろう。そして、これはクリーチャーにも当てはまるはずだ。《ウギンの目》の起動型能力がアーティファクトではなく、無色のクリーチャーカードという指定はクリーチャーにもエルドラージ呪文が存在していることを示しているように思える。
《ウギンの目》の価値はエルドラージ呪文の存在に比例する。そして、ストーリー上では、エルドラージはゼンディカーの謎の根底にして、解明しきれない部分である。それが弱いわけがない。
では、それがどういう風にゲームにフィードバックされるのか。エルドラージ呪文は強力であるというのは世界観から見てとれる。しかし、ゲーム上は強力すぎるカードがあってはいけないという暗黙のルールも存在する。その問題を解決するために現れたのが《ウギンの目》であると予想される。
《ウギンの目》は伝説の土地なため、複数枚置けず、通常のマナも出ない。起動型能力も序盤では使えないマナコストだ。唯一、無色のエルドラージ呪文とのみ相性がいい。
しかし、この土地の使い勝手の悪さが、逆にエルドラージ呪文の強さを表している。いや、これ以上使い勝手を良くできないのだ。実際に、2マナを軽減する能力の強さは異常だ。《ウギンの目》から無色マナが出れば、通常のデッキにエルドラージ呪文とセットで加えることもできるだろうが、それをされると困る理由=使われすぎるということがあるのだろう。
つまり、ストーリー上では強力なエルドラージ呪文を操るには《ウギンの目》が必要であるという形でその設定を昇華させていると思われる。予測される、エルドラージ呪文はまず、全ての色に存在し、クリーチャーも含む無色の呪文でマナは若干重め(もしかしたら、普通の軽さかもしれない)に設定されている。《ウギンの目》のデメリット部分を考えると、エルドラージ呪文と《ウギンの目》の組み合わせはかなり強力であるというのが逆に予測できる。
例えば、{U}{2}で2枚引くというエルドラージ呪文があったとしよう。普通は《予言》と等しいが、《ウギンの目》があれば青のみで唱えられる。3マナあれば、3マナのエルドラージ呪文が3回唱えられる。となると、《ウギンの目》は6マナの働きをしていることになる。
というわけで、今回はエルドラージデッキというものを作ってみた。
| 4 《ウギンの目》 2 《地盤の際》 4 《氷河の城砦/Glacial Fortress》 2 《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》 6 《平地/Plains》 4 《ハリマーの深み/Halimar Depths》 4 《島/Island》 -土地(26)- 3 エルドラージ天使(無色) 3 エルドラージスフィンクス(無色) 4 エルドラージ壁(無色) -クリーチャー(10)- | 4 エルドラージドロー(無色) 4 エルドラージカウンター(無色) 4 エルドラージ全体除去(無色) 4 《宝探し/Treasure Hunt》 4 《流刑への道/Path to Exile》 2 エルドラージプレインズウォーカー(無色) 2 《精神を刻むもの、ジェイス》 -呪文(24)- | |
まず《ウギンの目》は4枚必須。同系の対消滅も考えると確実に欲しい。さらに《地盤の際》で相手の《ウギンの目》を壊すことも忘れない。
このデッキが青白なのは、軽いカードが主体のビートダウンよりも、《ウギンの目》によるマナが軽さを生かせるのはコントロールと思うからだ、特にドロー系との相性がいい。ゲームが長ければ、《ウギンの目》の起動型能力を使う機会もあるだろう。後はエルドラージクリーチャーから優秀なものを使って勝負を決めるといいだろう。
ラージエキスパンションということもあって、エルドラージ呪文を軸にしたデッキが組めるだけの種類もあるはずだ。もちろん、ワールドウェイクのカードとの組み合わせで様々なシナジーが生むように作られているに違いない。ワールドウェイクで何か意味深なカードがあればチェックしておくといいと思う。
もちろん、これが正しい保障はないし、わかったからなんだということもあるかもしれない。しかし、未知への探検がゼンディカーのテーマであるなら、この《ウギンの目》の謎もそのテーマの一部であるといえるはずだ。
ワールドウェイクから生まれたこの挑戦、暇があったら考えてみるのも面白いのではないだろうか。
編注:「エルドラージ」に関して ~ワールドウェイクFAQより~
- "エルドラージ"はクリーチャー・タイプである。これはワールドウェイク発売時点で、どのクリーチャーにも印刷されていない。
- 現時点で、《霧衣の究極体》と多相を持つクリーチャーのみがエルドラージである。それが、おそらくは《マイコシンスの格子》のおかげで無色になった場合、《ウギンの目》によりそれを唱えるためのコストは{2}少なくなる。
- 《ウギンの目》の2つ目の能力により、あなたは自分のライブラリーのあらゆる無色のクリーチャーを探すことができる。これには、色マナ・シンボルを持たないアーティファクト・クリーチャー・カードや、《マイコシンスの格子》のおかげで無色になったクリーチャー・カードが含まれる。

